2020年からビットコインやイーサリアムを始めとして激動と言える暗号資産(仮想通貨)相場ですが、今回の上昇相場の原因はコロナだけなのか?
前回2017年のバブル相場との比較、そして今後の仮想通貨の相場の流れについて、国内仮想通貨取引所コインチェックの記事で紹介された野口悠紀雄氏のインタビュー記事を私なりにわかりやすくこの記事で解説してみました。
「【野口悠紀雄氏インタビュー】PayPal、Diem、CBDC…ブロックチェーンが変革する金融業界〜暗号資産市場の変動要因を振り返る」
野口 悠紀雄(のぐち ゆきお、1940年12月20日 – )は、日本の元大蔵官僚、経済学者。専攻は、日本経済論、ファイナンス理論。一橋大学教授、東京大学教授、青山学院大学大学院教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学教授を経て、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授
この記事の目次
2020年の仮想通貨相場の高騰要因はコロナだけではなかった?
新型コロナウィルスの影響により、昨年ビットコインの価格は金と同じような形で上昇し始めました。
ところが、金の価格が2020年の9月頃にピークを迎え、その後は目立った値上がりをしていないのに対して、暗号資産の価格は9月以降も上昇を続けている
このように2020年は3月に金融相場が大暴落した後にいち早く上昇したのがビットコイン。そしてゴールド(金)でした。
ビットコインは大暴落のときに50万円まで下がりましたが、年末には220万円の高値を更新、2021年3月時点で600万円を記録しています。
具体的に何が原因で暗号資産の価格が上昇したのかという点については、現時点ではわかりません
一般的にコロナウイルスを契機として、各国が経済対策に乗り出し大量の法定通貨(ドルや日本円)を発行し、それが金余りになってビットコインやゴールド、株などに投資されたと言われています。
その中でも仮想通貨相場は上昇が著しく、すでに大きくゴールドのパフォーマンス(成績)を上回っています。
また将来的に大量の紙幣が発行されると価値が下がるインフレになると言われており、資産の逃避先としてビットコインやゴールドが選ばれたとも言われています。
その中でもなぜ仮想通貨が大きな注目を集めているか、パフォーマンスが高いのか、これは私個人の考えですが、それはビットコインはデジタルということで今の世代に受け入れられやすいという点で、持ち運びもしやすいという点ではないでしょうか。
そしてビットコインは発行枚数が21万枚と決まっており、ゴールドに比べてよりわかりやすい設計(ゴールドの発行枚数上限は不明確)となっているのもあるかもしれません。
あと機関投資家が2020年に参入したようにゴールドに比べて値上がりの余地が大きいというのも大きな理由だと思っています。
それは2020年から2021年のビットコインのパフォーマンスが10倍を超えているのが物語っているのではないでしょうか。
2017年、2020年のバブルの違いについて
ビットコインにおける相次ぐハードフォークは、ある種のバブルを引き起こす原因になりました。例えばBCHが誕生したときには、ビットコインの保有者は持っているビットコインと同量のBCHをタダでもらうことができた。
ハードフォークしたからといって通貨としての価値が上がるわけではないのですが、新しく誕生する暗号資産を無料でもらえることが動機となって、ビットコインを購入する人が急増したのです。
ハードウォークとは仮想通貨の分岐(ぶんき)することをいい、分裂を伴うハードフォークとそうでないハードフォークがあります。
ビットコインはビットコインキャッシュ以外にもビットコインダイヤモンドなど様々な通貨が誕生しました。
確かにその通貨を手に入れるために事前に購入があったのも確かですが、実際はビットコインのコミュニティの分裂でビットコインとビットコインキャッシュが分裂した経緯がありそれが本当にバブルの引き金だったのかは私にはなんとなくピンとは来ません。
その中でも結果的にビットコインが生き残ることになり、性能が高いビットコインキャッシュ方のほうが人気がなくなっていくことになります。
そこから更に価格を上げていき2017年末に爆発した感じです。
仮想通貨に参入したペイパルが背負ったリスクについて
ビットコインは価格変動が大きいので、決済では使いにくいという問題があります。PayPalは世界の加盟店で暗号資産決済を可能にすると発表していますが、それを実現するにはボラティリティの問題をクリアする必要がある
もし報道にあるようにPayPalが価格変動のリスクを負って、暗号資産を決済用に使えるようにするのであれば、これは非常に大きな決断だといえるでしょう。
確かにビットコインは価格変動が大きく、通貨というよりかはゴールドのような資産という位置づけが今は正しいのかもしれません。
ペイパルでは仮想通貨を直接交換したり、持っている仮想通貨で支払いをができたりします。
ペイパルとして店舗側へのサービスとして価格変動リスクを背負っているというかもしれませんが、利用者がビットコインや他の通貨を交換したり支払ったときの手数料などでビジネスとしてもとが取れる採算を考えているのではないしょうか。
通常仮想通貨の送金自体には手数料が存在しますが、それはペイパルではなくマイニングをするマイナーに対してなのです。ですがビジネスとして成り立つためにはペイパルがそこから手数料徴収する必要があり、それが価格変動リスクを負っても儲かるというところになるのではないでしょうか。
また同じように世界的クレジットカード会社のマスターカードもビットコインなどの仮想通貨の直接支払いのサービスを2021年にも行うとしています。(*VISAは2021年3月現在で直接支払い対応になるという発表はまだない)これだけ大手の会社が参入しているということはそこに大きなビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。
※参照:日本経済新聞「米ペイパル、仮想通貨で支払い可能に ビットコイン高騰」
Diem(ディエム)が普及した際に既存の金融機関に与える影響
Diemが目指しているのは、今までビットコインが果たさなかったこと、つまり現実世界での決済に使われる暗号資産になることです。もしDiemが発行されて世界に普及すれば、これまで銀行が行ってきた決済業務をDiemが代わりに行うようになる可能性が高い。
ディエムとは2021年内に発行を予定しているフェイスブックのデジタル通貨になります。
以前はリブラと言われていましたが、米政府を中心として批判を受けたことからリブランディングして名前をディエムに替えています。
政府も既存の銀行や雇用などは守らないという立場にあるからかもしれません。
これは既存の銀行にとっては、非常に大きなインパクトです。Diemによって、自分たちの大切な業務を奪われるかもしれないわけですから。
ディエムはビットコインと同じブロックチェーン上のデジタル通貨で、ドルと連動した仮想通貨です。
当初は日本円、ポンド、ドル、ユーロなど世界の代表通貨の価格に連動した通貨となっていましたが、ディエムになってからドル連動となりました。
フェイスブックは世界中にユーザーがあるため、例えばフェイスブックメッセンジャーなどで通貨を送金したりすることでき、送金手数料は0に近いと言われています。
それがディエムでただ同然で送金できたら銀行の意味はなくなるわね。。。。
今後デジタル通貨と既存金融のせめぎあいになるのは間違いありません。
機能で言えばすでにデジタル通貨が優れているのは明白なのです。
この記事はコインチェックブログから引用しています。